本日の「爆音映画祭2016 特集タイ|イサーン」は社会派映画特集です。
当日券もありますので、ぜひご来場ください。
14:20 OPEN/14:50 START 『トーンパーン』(〜15:53終映予定)
16:15 OPEN/16:45 START 『東北タイの子』(〜18:55終映予定)
19:15 OPEN/19:45 START 『タクシードライバー』(〜21:49終映予定)
映画1回券 前売り 1500円/当日 1800円
映画3回券 前売り 3600円 (前売券のみ)
イープラス(http://eplus.jp/bakuonthai2016/)、ファミリーマートにて発売中!
会場:Shibuya WWW、WWW X(東京都渋谷区宇田川町13-17ライズビル地下&2F WWW TEL03-5458-7685/WWW X TEL03-5458-7688)
「渋谷駅ハチ公口から徒歩7分。旧CINEMA RISE」
http://www-shibuya.jp/
「爆音映画祭2016 特集タイ|イサーン」http://bakuonthai2016.com/
『トーンパーン』 Tongpan
1976年/タイ/63分/デジタル
監督:ユッタナー・ムクダーサニット、スラチャイ・ジャンティマートン、ラッサミー・パオルアントーン、パイジョン・ライサグン
脚本:カッムシン・シーノック、ウィッタヤーゴーン・シアングーン、パイジョン・ライサグン、マイク・モーロー
撮影:フランク・グリーン
音楽:スラチャイ・ジャンティマートン
出演:オンアット・マニーワン、ポッムホーム・ピラーソッムバット、スラチャイ・ジャンティマートン
提供:Multimedia Thailand
© The Isan Film Group
1976年制作、イサーン人農夫の生活と苦悩を描いた社会派映画。75年に実際に問題となったルーイ県のダム建設問題を題材に白黒16mmで撮影。主人公のトーンパーンは妻と2人の息子がおり、生きるために農作業だけでなくムエタイの試合に出場したり、サムロー(人力三輪車)の運転手をしていたりする。ただでさえお金がないのにもかかわらずダム建設で人生が一変する。民主化運動が高まり、共産主義者が隠れることとなったイサーンが舞台のために当時タイ政府から上映が禁止になったという幻の問題作。しかし海外では、その心に迫る生々しい映像から高評価を得てアジアン・アメリカ・インターナショナル・フィルム・フェスティバルでオスカーを受賞。その後『蝶と花』、『メナムの残照』を残しタイ映画の巨匠となったユッタナー・ムクダーサニットの貴重な初期作でもある。(宇都木景一)
※現存するマスター起因により上映素材の映像・音声の状態が悪くお見苦しいことを、予めご了承ください。
『東北タイの子』 A Son Of The Northeast (Luk E-Sarn)
1982年/タイ/130分/デジタル
監督・脚本:ウィチット・クナーウット、ウィチット・クナーウット
撮影:ポンニティ・ヴィラヤシリ
音楽:カニット・クナーウット
出演:トーンパーン・ポーントーン、ワンプーン・シリテープ、クライラート・クリアンクライ
提供:Five Star Production
© Five Star Production Co., Ltd.
乾いた大地に照りつける太陽。イサーン地方は豊かな自然を誇るタイにおいて旱魃と水害が交互にやってくる不毛の土地と名高い土地だ。(現代のイサーン地方の旱魃は高度経済成長期の日本をはじめとする海外ODAの製紙産業による森林伐採が弊害となっていることはあまり知られていない)
荒野を進む村人達のキャラバンは、新しい土地を求めて旅立ってゆく。80年代に撮られたとは思えない幻想的な村の人々の暮らしは、自然とともに生きその厳しさの中で培ってきた営みをおかしみを持ってわたしたちに訴えかける。83年にマニラ映画祭で審査員であった大島渚が本作『東北タイの子』を絶賛したのは、そこになによりも“生命の躍動”が描かれていたからであろう。
注目はやはり村に錦を飾るモーラムだ。登場するアンポンはこのたび来日するアンカナーン・クンチャイにも影響を与えたモーラムの詠い手である。進化を続けるイサーン音楽、モーラムにぜひ体を揺らしていただきたい。(相澤虎之助)
『タクシードライバー』 The Citizen
1977年/タイ/124分/デジタル
監督・脚本・撮影:チャトリ・チャラーム・ユーコン
音楽:ピセッ・サンスワン
出演:ジャトゥポン・プーアピロム、ピンヨー・パーンヌイ、ウィヤダー・ウマーリン
提供:Five Star Production
© Five Star Production Co., Ltd.
プリンス・チャトリ監督は留学先のUCLAでフランシス・F・コッポラやロマン・ポランスキーらと共に映画を学んだタイ映画を代表する作家である。王族でもあった彼はそれまでのタイ映画にあまり見られなかった“社会派”の作品を次々に生み出した。本作『タクシードライバー』は、ベトナム戦争時に兵站としてイサーン各地に造られた米軍基地(そこからベトナム、ラオス、カンボジアに爆撃機が飛び立っていった)のGIに妻を奪われ、ひとりバンコクに出稼ぎに出たイサーンの若者が主人公だ。
中央タイ映画において初の試みといってよいイサーン語(ラオス語)を喋る主人公が登場したこの映画は公開時にはタイ語の字幕が付けられた。現在でも中央バンコクと地方イサーンでは厳然たる差別が存在する。スラムに響く故郷のケーンの音色の中で、人間の尊厳を奪われたひとりの男が立ち上がる。『ハーダー・ゼイ・カム』、スコセッシの『タクシードライバー』と時を同じくして。(相澤虎之助)