boidマガジンにて「宝ヶ池の沈まぬ亀」を連載中の映画監督、青山真治さんが3月21日に亡くなられました。
今年に入ってからの急激な病状の悪化で特にこの1ヶ月は本当にハラハラし通しでしたが、そんなこちらの心配を超えて、本人から送られてくるメールや文章は軽快で明晰で見晴らしが良く、このままどこまでも共に旅ができるのではと思っていました。
実は今もまだそう思っています。あまりに急な死がそう思わせるのかもしれません。悲しみの強さがそんな思いを増幅させているのかもしれません。
書籍化された『宝ヶ池の沈まぬ亀』は前書きも後書きもなく最後は「つづく」で終わっています。これは本人の強い希望でした。続けることに意味を持たせるのではない、だからと言って無意味に続けることをよしとするわけでもない、ただ毎日の当たり前の営みとしての「つづく」。そんなそっけないひとつの終わりである「つづく」が今回不意に訪れたということではないかとも思っています。
『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』の百葉箱の中のTVモニターに映ったビデオ映像を思い出します。映っていたのは死んだ男の映像でした。あの百葉箱は実は現実にはなかったのではないでしょうか? ただ映画のカメラが不意にそこを向いた時、たまたま映し出してしまった百葉箱。そんなことを考えると楽しくなります。われわれの目をそんなカメラにしてみたら、きっとそこかしこに青山真治を見つけることになるでしょう。あの人もこの人も見つけることになるでしょう。これから、そんなつもりで生きていこうと思っています。
樋口泰人(boid/Voice Of Ghost)
以下、株式会社カズモからリリースされた告知文になります。
令和4年3月
訃報
弊社 映画監督 青山真治 儀は、かねてより入院加療中のところ令和4年3月21日 午前0時30分、享年57歳にて永眠いたしました。
本来ならば早速お知らせ申し上げるべき処でございましたが、ご通知が遅れました事を深くお詫び申し上げます。
尚、新型コロナウィルス感染症の拡大防止を踏まえ、葬儀につきましては近親者のみで家族葬にて執り行いました。
生前のご厚誼に深く感謝し、厚く御礼申し上げます。
なお、ご供花、ご供物、ご香典、ご弔電の儀は固くご辞退させていただきます。
後日、お別れの会を予定しておりますので、改めてご案内をさせていただきます。
令和4年3月25日
株式会社カズモ
東京都渋谷区富ヶ谷1-37-14- 106
03-5478-1081(代)
代表取締役 齋藤寛朗