映画作家であり、「Bialystocks」として音楽活動もしている甫木元空による長編第2作目『はだかのゆめ』をboid/VOICE OF GHOSTが配給します。
公開は11月25日(金)よりシネクイントにて、以降シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館など順次公開です。
『はだかのゆめ』特報映像、ティザービジュアルをウェブサイトにて公開しました。
ぜひご覧ください。
公式サイト: hadakanoyume.com
“日本映画に現れた、甫木元空という「最後の映画作家」”
高知県・四万十川の流れる土地に暮らす一家の人々の物語
『はだかのゆめ』
監督・脚本・編集:甫木元空
出演:青木柚 唯野未歩子 前野健太 甫木元尊英
プロデューサー:仙頭武則 飯塚香織
撮影:米倉伸 照明:平谷里紗 現場録音:川上拓也 音響:菊池信之
助監督:滝野弘仁 音楽:Bialystocks 製作:ポニーキャニオン
配給:boid/VOICE OF GHOST
2022 年/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/5.1ch/59分
©PONY CANYON
【ストーリー】
四国山脈に隔たれた高知県。いまだダムのない暴れ川の異名をもつ四万十川。太平洋に流れ出るその川の流れと共に、生きてるものが 死んでいて、死んでるものが生きてるかのような土地で老いた祖父と余命をそこで暮らす決意をした母、それに寄り添う息子、ノロ。嘘 が真で闊歩する現世を憂うノロマなノロは近づく母の死を受け入れられずに死者のように徘徊している。そのノロを見守るように寄り 添うおんちゃん、彼もまたこの世のものではないのかもしれない。息子を思う母、母を思う息子がお互いの距離を、測り直していく、母 と子の生死の話。
11月25日(金)より渋谷シネクイント、以降シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、ほか全国順次公開
2022年春、甫木元監督の大学時代からの恩師である青山監督が急逝。青山監督はかつて甫木元を「最後の映画作家」と評して、映画『はるねこ』のプレスシートには下記のテキストを寄せている。
新しい才能などもう現れないし、新しい映画などもう必要ない。そもそも新しさという言葉にもはや価値を見いだせない。もちろん、それは失望から洩れる嘆息でしかなかった。 だが「最後の映画」との出会いという夢をまだ諦められずにいたこともたしかだった。日本映画に現れた、甫木元空という「最後の映画作家」。
―青山真治(映画監督) *『はるねこ』プレスシートより一部抜粋
物語の舞台は、四国山脈に囲まれた高知県。四万十川のほとりに暮らす一家の人々の、幽かな生と確かな死。土地に刻まれた時間の痕跡の物語を描く。これは若くして両親を亡くし、高知県で祖父と暮らす監督自身の現在を半ば投影した物語でもある。『EM エンバーミング』(99)『東京公園』(11)『空に住む』(20)といった作品で「死」に目を向けた青山真治の志が ここに引き継がれ、新たな世界に向けてわたしたちの視界を広げることになる。
主演に昨年公開の『うみべの女の子』や NHKドラマ『きれいのくに』、NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』など話題作への出演が相次ぐ青木柚。さらに、俳優のみならず監督、小説家でもある唯野未歩子、シンガーソングライターで俳優としても活躍している前野健太が出演。前作に続き、仙頭武則がプロデュースし、これからの日本映画を背負う若きスタッフたちに混じって、青山組の音響担当として『EUREKA ユリイカ』以降のほぼすべての作品を手がけてきた菊池信之が参加している。
ティザービジュアルには、竹崎和征と西村有という2人の画家によって共同制作されたペインティングを起用。こちらはテレビ東京ドラマ25『先生のおとりよせ』EDテーマとして書き下ろした Bialystocksの現在配信中の新曲「差し色」のジャケットとしても使用されている。特報では高知県四万十川の風景を切り取りながら、青木柚演じる主人公「ノロ」と、唯野未歩子演じる「母」のセリフの一部と、Bialystocksの音楽を垣間見ることができる。
甫木元空(ほきもと・そら)
1992年生まれ、多摩美術大学映像演劇学科を卒業し、映画による表現をベースに、音楽制作やライヴパフォーマンスなど、ジャンルにとらわれない横断的な活動を続けている。2016年に劇場公開されたデビュー作『はるねこ』 は、『EUREKA ユリイカ』の青山真治監督とプロデューサー・仙頭武則氏のタッグによってプロデュースされた。また現在はBialystocks(ビアリストックス)としても活動。Bialystocksは、『はるねこ』の生演奏上映をきっかけに結成されたボーカル・ギターの甫木元と、キーボードの菊池剛からなる2人組バンドで、2021年に発表されたファーストアルバム『ビアリストックス』の収録曲“I Don’t Have a Pen”は NTTドコモが展開する〈Quadratic Playground〉のウェブCMソングに選出され大きな話題となった。
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【甫木元空監督 コメント】
音楽家であった母が弾くピアノにいつからか誘われるように歌を歌い、曲を作り始めたことが自分の表現の始まりです。そんな母の故郷高知県で映画を製作するために、4年前に高知に移住し脚本を書いてきました。
母と祖父と過ごした4年間、それは母にとって闘病期間ではありましたが、食事をつくり、洗い物をして、洗濯物をする、できる事をしながら生きるという事について賢明に模索する期間でもありました。本作の主人公同様いつも何事にも間に合わないノロマな自分は、最後まで自分の余命をしりながら賢明に生きる母をた だただ最後まで見つめる事しかできませんでした。終わりに背を向け永遠を求めてしまう「はだかのゆめ」の中を彷徨いながら、いま一度生きてる者と死んでる者の距離を測り直し見つめ直す。運動の軌跡と弔いの音楽を移ろいゆく季節と水の流れと共に、終わりに向かう話ではなく、物語がそこから始まるような映画になればと思い製作しました。
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